日本茶の代表品種「やぶきた」について徹底解説!
2022.03.11(Fri)
日本の食になくてはならないお米。
一口にお米と言っても、こしひかりやあきたこまちなど品種は様々です。
実はお茶もお米のように、たくさんの品種があるのをご存知でしょうか?
「静岡茶・宇治茶・狭山茶とかのことじゃないの?」と思われるかもしれませんが、
それは産地の名前をつけたお茶の銘柄なんです。
数あるお茶の品種の代表ともいえる「やぶきた」について、
今回は徹底解説していきます。
そもそも、やぶきたとは?
現在、お茶の品種は100種類近く農林水産省に登録がされています。
その中でも国内での栽培面積の約8割を占めるのが、やぶきたです。
漢字だと「藪北」と書きます。
この圧倒的な普及率が日本茶の代表品種と言われる理由です。
では、やぶきたはどのように生まれたのでしょう?
やぶきたの歴史
この項では、やぶきたがどのように生まれ、現在に至るのか、
その流れをわかりやすく解説いたします。
やぶきたは静岡県生まれ
やぶきたの生みの親は杉山彦三郎という人物で、
1908年(明治41年)に津嶋神社前にある所有地の竹藪を開拓して、茶畑を作りました。
杉山は成長したお茶の木から、優良な2本を選抜し、
1本は元々竹藪だった地の北の方にあったので、「やぶきた(藪北)」と名付け、
もう1本は南にあったので「やぶみなみ(藪南)」と名付けました。
その後、実験と観察を続け、「やぶきた」が優秀な木だということに気づきます。
超優秀な品種 やぶきた誕生
やぶきたは耐寒性が高く、凍害に強い性質を持っています。
また、根付きも良く、様々な土壌に対応できる適応能力の高さも特徴のひとつです。
成長も早く、植え替えもしやすいことから、
育てやすい品種として農家から高い評価を得ることとなります。
やぶきたが全国に普及したのは、杉山の死後
「やぶきた」が優秀な木だと気づいた杉山は、その後も品種改良を続け、
「やぶきた」以外にも約100種類の優良品種を生みだし、この世を去ります。
杉山の死後、お茶の育成比較試験で高い評価を受け、
1945年(昭和20年)に静岡県の奨励品種に指定されました。
さらに、1953年(昭和28年)に農林水産省の登録品種となり、
「やぶきた」は全国に普及していきます。
静岡県の天然記念物「やぶきたの母樹」
杉山が見つけた「やぶきた」の母樹は、谷田宮の後公園の隣接地に移植され、
「杉山彦三郎記念茶畑」として保存されています。
静岡県の天然記念物に指定されており、現在も元気に茂っています。
また、同茶畑には杉山が各地から収集した品種の内の13種も植えられているそうです。
杉山の並大抵ではない努力と、探究心により生まれた「やぶきた」
もし、杉山の努力がなければ、
お茶を今のように手軽に飲めていなかったかもしれませんね。
まとめ
今回は、やぶきたについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
日本茶を飲む際に、ふと思い出していただけたら、
いつもとは違う味わいになるかもしれません。
静岡茶商工業協同組合が運営している「一茶」では、
選りすぐりのお茶をご紹介しています。
ぜひ、お気軽にお立ち寄りください!