日本茶における茶師の役割
2021.07.02(Fri)
最近「茶師監修」の文言が記載されたペットボトルのお茶や、スイーツなどを見かけたりします。
しかし「茶師」と聞いたことがあっても、どんな職業なのかピンとこない方がほとんどではないでしょうか?
今回は、日本茶になくてはならない「茶師」について解説するとともに、お仕事内容についてもご紹介していきます。
そもそも茶師とは?
茶師の歴史は古く、室町時代から活躍しており、お茶を選定・調合・製品化する職人のことを指します。
お茶を収穫するところから、お茶を販売するまでの流れを簡単に説明すると
お茶の葉を収穫
↓
生葉を荒茶に加工
↓
荒茶を仕上げ茶にする
↓
販売
この工程の「荒茶を仕上げ茶にする」のが、茶師の仕事です。
全国に700人ほどしかおらず、剣道や将棋のように「段」があり、
最高位である茶師十段に関しては全国に十数人しかいません。
国家資格などではありませんが、お茶に携わる業界では、とても権威のある称号です。
言うなれば日本茶のプロフェッショナルのような存在です。
茶師の仕事内容
茶師は、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感を研ぎ澄ませ、茶葉と向き合います。
茶師の具体的な仕事内容とともに、
五感をどのように使っているのか見ていきまししょう。
・仕入れ
茶葉は栽培方法や場所、気候など様々な条件により変化するため、毎年同じ茶葉を仕入れるということは不可能です。
一万種類もの茶葉が市場には並んでおり、迅速で的確な判断をしなければなりません。
五感だけでなく、今までの経験や知識を積み上げた「勘」も必要になってきます。
・選別
荒茶は、お茶の葉や茎が粉状になって混ざっている状態です。
これを機械や目の大きさが異なるふるいをいくつか使用して、茶葉の大きさを選別し、その他雑味につながるものをより分けていきます。
視覚・触覚をフル活用して、繊細かつ丁寧に作業を進め、茶葉を整えていきます。
・火入れ
荒茶を炒ることによって、含まれる水分を5%から3%にまで絞り、味わいや香り・色つやを最大限に引き出します。
火入れが弱いと青臭さが強く残り、火入れが強いと香ばしさや甘さが強くなります。
茶師はイメージするお茶に近づけるため、聴覚・嗅覚に集中し、火入れの温度や時間を絶妙に調整していきます。
・合組(ごうぐみ)
合組は茶師にとって一番の腕の見せどころで、茶葉をブレンドする工程です。
様々な茶葉の特徴を理解し、そして活かしながら組み合わせ、美味しいお茶を生み出していきます。
また、定番商品の「変わらぬ美味しさ」を作り出すことも重要です。
五感と今までの経験と知識から、最高のお茶を作りあげます。
まとめ
茶師とは何か、どのような仕事なのかを解説してきましたが、いかがでしたか?
五感と知識・経験をフル活用する、クリエイティブな仕事であり、
日本茶になくてはならない役割であることがわかっていただけたかと思います。
静岡茶商工業協同組合が運営している「一茶」では、
選りすぐりのお茶をご紹介しています。
ぜひ、気軽にお立ち寄りいただき、お茶を楽しんでいただけたら嬉しいです。